AppBank主催のiPhoneアプリ勉強会に行ってきた
もう1ヶ月近く前の話ですが、昨年12月にAppBankさん主催「iPhoneアプリ勉強会・プレゼン大会」(http://www.appbank.net/2011/12/12/iphone-news/340708.php)に行ってきました。色々と貴重な話が聞けたので、誰かの参考になるかと思い、いまさらながら当日のメモを公開します。
(小さく写っとるな。俺)
サイバーエージェント会社紹介 (from サイバーエージェントさん)
イベントスポンサーのサイバーエージェントさんからの会社紹介。関西地域のエンジニアを採用したい思いから、梅田にスマートフォンアプリ開発の拠点を立ち上げるそうです。
- エンジニアの重要性
- 技術力の差は重要。企画力•実行力はどこでもある
- 最速/最高のどちらかを追求→アプリ内製化が必須!
- プロトタイプ作成能力
- 技術底上げ
- 技術検証/開発検証
- 社内でのアプリコンテスト
業務用アプリ開発の実態 (from フィードテイラー 大石さん)
主にアプリの受託開発を手がけているフィードテイラー 大石さんから、業務用アプリの開発実態についての発表。めっちゃ勉強になりました。
(1/9追記)フィードテイラーさんのブログに当日の資料が公開されていました。
業務用アプリの実状
企業内活用で抑えておきたいキーワード
- iDEP = iOS Developer Enterprise Program
- AppStoreに公開できない変わりに、AppStoreを介さずに公開できる
- DUNS Numberで証明。台数無制限。審査不要。¥24,000/Year
- OTA = Over The Air
- 社内アプリ配信サーバーのこと
- もちろんVPNを介せば社外からもインストール可能
- MDM = Mobile Device Management
- 社内デバイス管理サーバー
- configファイルを端末に強制的に入れ込める
これらは、iOS Xサーバーでも利用可能。ただし、オレオレAppStoreを立ち上げることになるので、もし社外に公開すると厳しい罰則あり。そのため、iDEP審査やAppleとの契約は少し大変。
業務用アプリの将来展望
- 将来実需:2015年… スマホ3000万台、タブレット600万台
- AppStore Volume Purchasing for Business
アプリ開発で問い合わせで多いパターンは、「こんなアプリをうちの会社向けにカスタマイズしたいんだけど作れます?」。つまり逆に言うと、アプリそのものがアプリ開発会社の広告になっている。(ちなみに、フィードテイラーさんのアプリ実績数は約70)
フィードテイラーさんの具体例:なまこ漁アプリ
- 公立はこだて未来大学の先生からの依頼。なまこ漁の漁師さんを支援するアプリを作ってほしい(最初は何のことかさっぱり分からなかった(笑))
- 具体的には、漁師さんがなまこを捕獲した際に、その場の天気・水温・水揚げ量などをiPadに記録
- iPadに記録すると、データがGPS情報と紐付けされてサーバーに登録される
- データが蓄積されると、なまこの量が捕獲できるポイントや今年は獲れすぎたかorまだ獲れるかなどの分析・プランニングが行える→計画漁業というらしい
- iPadそのものの操作も簡単なため、ご年配の漁師さんにも好評
- そんなに難しいアプリではないが効果絶大、みたいな例が多い
- 次はエビ漁アプリを作ってほしいとのこと(笑)
iPhoneゲームで世界を変えよう!(from CAPCOM 手塚さん)
モンハン、ストリートファイター、バイオハザードなどの超有名シリーズのベンダー、CAPCOMの手塚さんのセッション。最近はiPhoneアプリ市場にも積極的に取り組んでいるよというお話でした。アプリのマーケティングに関する話題が中心で、とても興味深かったです。
スマホ市場とゲーム開発
市場でどんなゲームが受けているかの調査が重要。端的に言えば、AppStoreのランキングにいかに入るか。ゲームそのものは、あまりプロモーションのしようがない。(MobageさんやGREEさんはがんがんCMを打ってるけど、あれはDL数を稼ぎたいというより、会員数を増やしたいからと分析)
それぞれの特徴
- フリーミアム
- 基本無料。アイテム課金型。
- IT/Mobile屋が得意。
- ゲームメーカーでこのビジネスモデルを構築できている所は少ない
- サーバー技術、運営/ランニングコストが重要
- カジュアル
- インディーズ/ストア系が得意
- 開発コストが低いが、過当競争。マーケティングが難しい
- プレミアム
- 伝統的なゲームメーカーが得意
- 開発コストが高い。ターゲットが難しい。マーケットシェアが小さい
ゲーム開発は、ひとことで言えばほとんどがリソース配分で決まる。
今後の主戦場
つりポン!あれこれ (from サイバーエージェントさん)
サイバーエージェントのゲームアプリ、つりポン!開発秘話について。
①ゲーム紹介
開発体制
- 7、8名くらい
- 実装メンバーは3名
- ゲームロジック、UIデザイン
- UI実装(画面操作)
- UI実装 (サーバ連携)
オフライン対応と非会員対応
- オフライン対応
- 主に通信処理結果のハンドリング→エラーしたらオフラインみたいな
- 非会員対応
- 会員対応と非会員対応の内容差をつけていたが、AppleからRejectされたので無くした
- データはなるべくローカル保存
- 非会員→会員への誘導 = 実際に試してみて下さい(笑)
- AppStoreのレビュー誘導は重要
- 10日で10万DL、1万6千件の評価
②cocos2dを利用した最適化・高速化
傾向と対策
- OpenGLの描画関数の読み出し時のオーバーヘッド
- GLDrawArray()など
- 対策
- TexturePacker()でテクスチャを1枚結合
- テクスチャロードの非同期化
- 同期だと重い
- 対策
- addImageAsync()
- シーン遷移のフェードアウト時に裏で走らせるなど
- テクスチャフォーマットの調整
- デフォルトはARGB 32bit
- 対策
- テクスチャ毎にカラーフォーマットを使い分ける
- cocos2dのモーション制御の最適化
- コンフィグの微調整
- ccConfig.hのオプション調整
参考文献
③制作環境やゲーム制作で意識したこと
当時に製作状況
- Pigg APIが未定
- FlashベースのPCサービスでの障害などなど
意識していたこと
- CEDEC2010の遠藤さんのセッション
- やめどころが分からないようにする
- 1プレイ中の達成感をめちゃくちゃ小さくする(小さくした方がリプレイを促す)
- 簡単だけどついやっちゃう
- 女の子意識→でないとDL数が稼げない
- でもおもしろい
要素は盛ればいいってものではない?
- 既存の要素と矛盾する要素を入れこむと、相殺されて面白くなくなる
- ライトゲームの場合は、女の子の意見の方が確信を得ている
- 何のフェミニズムもなしのガチの話(笑)
PiggをiPhoneで動かすには?
- Flashまんまじゃ動かない
- cocos2dとFlash(ActionScript)の構造は激似→ブリッジをちょこっと書いただけ
- デカルト座標系とスクリーン座標系の変換とか
- Flash->cocos2dへのアニメーション変換は、1pixelテクニカルブログを参考に
iPhone市場について (from AppBank 村井さん)
小休憩がてら(?)、雑多な話が色々とありました。
アプリ開発者LT
アプリ開発者13人による、6分/人のLTタイム。笑わせてもらいました。メモは取ってないです。
懇親会
LTの後、会場そのままで懇親会へ。サイバーエージェントさんから軽食&ビールの差し入れがあって盛り上がりました。太っ腹。個人的には、はてなスタッフの二宮さんとお話させて頂いたのが嬉しかったです。(HatenaAlbum、楽しみにしてます!)